鹿児島県・喜界島発、きび粗糖、フードロスの島みかん、14種のスパイス&ハーブを調合した「TOBA TOBA COLA」。サンゴ礁が豊かに育つ「喜界島」で、キースさん・ナオコさんご夫婦が、島みかんの収穫や製造、デザイン、シロップの瓶詰めまで手がけている銘柄さんです。「TOBA TOBA(トバトバ)」は、喜界島の島言語で「ウキウキ」という意味。奄美群島にある離島に暮らしながら、お二人が楽しくクラフトコーラを作られている情景が浮かぶ名前ですね。2020年春の発売以降、クラフトコーラはもちろん、様々な取り組みを多岐に渡って行っています。日頃からクラフトコーラマイスターとして活動している筆者から見ても、「幅広く、深く、“クラフト”を体現している銘柄さんだな」と思い、ずっとお話を聞きたかった存在でした。そして、ついに。2022年の初秋、とあるイベントではるばる東京に上陸なされていたタイミングで、たっぷりとお話をお伺いできることに。話を伺う中で見えてきたのは、地で“ウキウキ”を体現し続ける、勇敢で大胆なお二人と、TOBA TOBA COLAの姿でした。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━話し手:キースさん・ナオコさん(TOBA TOBA COLA)聴き手:鯉淵 正行(クラフトコーラマイスター)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━3年目を迎えた、TOBA TOBA COLAー TOBA TOBA COLAが始まって、どれくらい経ちましたか?キースさん:2020年の春頃に始めたので、3年目を迎えます。ーもう3年目を迎えるんですね。3年目という節目を意識した時に、率直にどんな気持ちになりますか?キースさん:2022年の夏くらいからかな...、クラフトコーラを本業にしてきて、「やっと板についてきたかな」と思います。ナオコさん:1年目なんかは、生きている感覚がなかった(笑)。確かに、今は「ああ、生きているな」っていう感覚になりますね。「やっとこう、自分の人生を歩み始めたな」と思えるようになった。特に2022年は、有難いことにとても忙しくさせてもらっていて、ずっと走っているような感覚です。「生きがい」として、とても強くなってきている。キースさん:当初は「本当にこれでやっていけるのかな」と不安に苛まれることも多かったので。ゆっくり、ゆっくり、大きくなっていくことができて。ちょうどこのタイミングで「板についてきたのかな」って思えているよね。ーどういう部分で「板についてきた」って感じるものなんですか?キースさん:「リピーターさんの存在」が大きいですね。多くの方が何度もリピートしてくれることに、とてつもない安心感を覚えます。ナオコさん:私たち、毎回手紙を書いて、コーラと一緒に送っているんです。回数を重ねると、手紙の内容が“より具体的”になってくるんですよね。「育てている野菜が大きくなりました」とか「お勧めしてくれたバナナ、美味しかったですよ」とか(笑)。TOBA TOBA COLAを通じて、お客さんとやり取りのリレーができて...。実際にお顔は分からなくても、表情が見えてくるような感覚になってくるんです。とても「トバトバ」(=喜界島の言語で「ウキウキ」を意味する島言語)しちゃいますね(笑)。キースさん:以前、福岡で眼科を営んでいる方がコーラを買ってくれたんです。やり取りをしている中で、分かったことなんですけど。そしたら、ナオコがその眼科さんに診てもらいに行ったこともあったよね(笑)ナオコさん:そうそう!検診受けながら「買ってくれてありがとうございました!」とか言って(笑)そこからご縁が続いていて、TOBA TOBA COLAを生活の一部にしてくれているんです。キースさん:そのほかには、「ふるさと納税」で買ってくれた方がオンラインストアで再び買ってくれたりすると、「気に入ってくれたんだな」と手応えを感じます。ー とてもいいですね...。クラフトコーラに関係ない話にまで発展するとか、実際に遊びに行っちゃうとか。お二人が楽しんでいるのも素敵ですし、お客さんたちも楽しいんだろうな。僕の友人も、僕きっかけでお二人と知り合ったけど、一人でイベントへ行ったり、島まで遊びに行く人も現れていますもんね(笑)。ナオコさん:ほんとだね(笑)。TOBA TOBA COLAを通して深く繋がれるのが楽しいし、それを探している感じもしますね。ずっと顔が見えないままだと、どこか不安になっちゃうのかな?キースさん:ふたりの性格上、広く浅い付き合いができないのもありますね。ナオコさん:器用じゃないからね...。それがクラフトコーラにも如実に現れているのが面白いなあって。今まで色んな選択をしてきたけど、大量生産の規模感や委託を選ばず、自分たちや顔が見える方と協力して島内で製造までやりきったり。キースさん:本業ではあるけれど、ビジネスをやっている感覚は不思議とないよね。「トバトバ(=ウキウキ)すること、やっていこうぜ」って、最初に二人で言っていたことを、今もずっと求めているんだろうなあ。ー飾りの「トバトバ(=ウキウキ)」じゃなくて、地で歩んでいるのがとてもいいですね。自然体な“らしさ”を如実に感じれることが、一番のクラフトなんだろうなあ。キースさん:どうしても嘘がつけない、無理ができない二人なんで...。地でいくしかない。ーここからは、1年単位でこの3年間を振り返るようにお話を伺っていきたいと思います。まずは、最初の1年目について…。ナオコさん:1年目は、「探りの年」だったなあ。全部がチャレンジで、新鮮で。キースさん:どんどん受け入れていってもらえる感じもあって。TOBA TOBA COLAをきっかけに、喜界島のことを知ってもらえて、島みかんのことも知ってもらえて、クラフトコーラも知ってもらえて。ナオコさん:今思うと、TOBA TOBA COLAが、私たちのことを遠くまで連れていってくれた1年だったように感じます。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━3年目を迎えたお二人からは、「ようやく板についてきた」という言葉が出てきました。その実感を得れるまでの3年間は、一体どのような道のりだったのか。話を伺うと、「楽しかった」に加え、「逼迫していた」「ピンチになった」という瞬間が、いくつもお二人に訪れていたのです。TOBA TOBA COLAの1年目はいかに。vol.2はこちら。“危機”も”希望”も抱え走り切った1年目。TOBA TOBA COLAの”ウキウキ”3年史(II)話し手:キースさん・ナオコさん(TOBA TOBA COLA)撮影/写真:松田 大成/TOBA TOBA COLAさん公式素材聴き手:鯉淵 正行(クラフトコーラマイスター)