2023年3月13日(月)、「日本酒造組合中央会」と「CRAFT COLA WAVE」の共催で、「日本の酒情報館」(東京・虎ノ門)を舞台にクラフトコーラ×焼酎の実験的ペアリング会が開かれました。日本酒造組合中央会は、「國酒(こくしゅ)」とされる日本酒、本格焼酎・泡盛について情報発信することで、国内外へ幅広く認知向上させる活動に取り組んでいます。%3Cblockquote%20class%3D%22twitter-tweet%22%3E%3Cp%20lang%3D%22ja%22%20dir%3D%22ltr%22%3E%EF%BC%8F%3Cbr%3E%E5%87%BA%E4%BC%9A%E3%81%84%E3%81%AE%E5%AD%A3%E7%AF%80%EF%BC%81%E6%98%A5%E3%82%82%E6%9C%AC%E6%A0%BC%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%83%BB%E6%B3%A1%E7%9B%9B%E3%81%A8%E4%B8%80%E7%B7%92%E3%81%AB%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%82%82%E3%81%86%F0%9F%8C%B8%3Cbr%3E%EF%BC%BC%3Cbr%3E%3Cbr%3E%E6%98%A5%E3%81%AE%E8%A8%AA%E3%82%8C%E3%82%92%E6%84%9F%E3%81%98%E3%82%8B%E5%AD%A3%E7%AF%80%EF%BC%81%F0%9F%8C%B8%F0%9F%8C%B1%3Cbr%3E%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%94%E3%81%A8%E3%82%82%E5%A2%97%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%AE%E5%AD%A3%E7%AF%80%EF%BC%81%F0%9F%8F%AB%E3%81%BF%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%8C%E3%81%8A%E9%81%8E%E3%81%94%E3%81%97%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F%F0%9F%98%86%F0%9F%8C%9F%3Cbr%3E%3Cbr%3E%E3%81%8A%E9%85%92%E3%82%92%E9%A3%B2%E3%82%80%E6%A9%9F%E4%BC%9A%E3%82%82%E5%A4%9A%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%AE%E5%AD%A3%E7%AF%80%F0%9F%8C%B8%3Cbr%3E%E4%BB%8A%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%98%A5%E3%82%82%E3%80%81%E6%9C%AC%E6%A0%BC%E7%84%BC%E9%85%8E%E3%83%BB%E6%B3%A1%E7%9B%9B%E3%81%A7%E9%A3%9F%E5%8D%93%E3%81%AB%E5%BD%A9%E3%82%8A%E3%82%92%E5%8A%A0%E3%81%88%E3%81%BE%E3%81%97%E3%82%87%E3%81%86%EF%BC%81%F0%9F%8C%88%E2%9C%A8%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ft.co%2FnnfgVumOei%22%3Ehttps%3A%2F%2Ft.co%2FnnfgVumOei%3C%2Fa%3E%20%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ft.co%2FzVioxVzOc3%22%3Epic.twitter.com%2FzVioxVzOc3%3C%2Fa%3E%3C%2Fp%3E%E2%80%94%20%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92%E9%80%A0%E7%B5%84%E5%90%88%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E4%BC%9A(%E5%85%AC%E5%BC%8F)%20(%40JapanSakeShochu)%20%3Ca%20href%3D%22https%3A%2F%2Ftwitter.com%2FJapanSakeShochu%2Fstatus%2F1631580180148879360%3Fref_src%3Dtwsrc%255Etfw%22%3EMarch%203%2C%202023%3C%2Fa%3E%3C%2Fblockquote%3E%20%3Cscript%20async%3D%22%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fplatform.twitter.com%2Fwidgets.js%22%20charset%3D%22utf-8%22%3E%3C%2Fscript%3Eそんな歴史のある日本酒造組合中央会のアドバイザー・児島麻理子さんより、「焼酎の飲み方のひとつとして、コーラ割りはかねてよりコアな人気があるんです。なので、クラフトコーラ×焼酎は、可能性を感じています。」とお声掛け頂いたことをきっかけに、今回の実験的ペアリング会が開かれることに。そこで見えたのは、コーラと焼酎の新しい可能性、恋するほどの相性の良さ、そして一夜限りの出会いでも「ビビビ」と繋がったベストカップルたちでした。イベントレポート2023年3月13日(月)、夜。会場は、新橋にある「日本の酒情報館」。歴史と文化を含む日本酒・本格焼酎・泡盛の魅力のすべてを「見て・触れて・体験」できる展示館です。天井に飾られた大きな木桶と、和モダンな雰囲気。少しばかり木の香りが漂いながら、さまざまなお酒に囲まれる。壮観な会場を目の前にし、さっそく高揚感を覚えます。当日のながれ当日のコンテンツは、こちら。参加者の自己紹介クラフトコーラ談義「本格焼酎・泡盛」の香り・味わいレクチャー by 宇都宮仁先生ペアリング体験ベストカップル発表!参加メンバーは、CRAFT COLA WAVE編集部、伊良(いよし)コーラ代表のコーラ小林さん、日本酒造組合中央会のスタッフや関係者7名、グルメ系雑誌に精通している外部ライターさん2名、あらゆる焼酎と飲み方を提案する炭焼居酒場「IGOR COSY」渋谷店の店長...と、多種多様なメンバーが集いました。クラフトコーラ談義クラフトコーラ談義パートは、CRAFT COLA WAVE編集長が担当。クラフトコーラの歴史や定義の話、どのような種類があるのか、なぜここ数年で倍増してきたのか、文化になっていく上での課題について...などをお話をしました。次は、日本酒造組合中央会理事でもあり、酒類の官能評価・日本酒ペアリングの第一人者である「宇都宮仁」先生によるレクチャーです。ここからは、CRAFT COLA WAVE編集長が主催するクラフトコーラのイベント・発信に伴走してくれている仲間であり、食・お酒、ひいては様々な食のカルチャーをこよなく愛する通称・「プロの味見屋」こと斎藤虎太朗にバトンタッチして、レポートをお届けします。「本格焼酎・泡盛」の香り・味わいレクチャー今回のイベントについて、「コカ・コーラと芋焼酎を割ったときに、どちらにもない新しい味わいとなったため、クラフトコーラでも新たな可能性があるのではないかと思ったのがきっかけ」と語る、宇都宮先生。曰く、焼酎とクラフトコーラのベストマッチを見つけるには、「香り成分の相性が一つの手がかりになる」そうです。宇都宮先生:焼酎という酒は、他の蒸留酒とくらべて原材料の個性が香りや味わいに強く出る酒です。また、蒸留方法によっても香りが変わります。たとえば、芋焼酎の原材料である芋は、芋の中に含まれる酵素が反応して「MTA」という香り成分を出します。蒸留方法によりますが、「ライチ」「マスカット」「マンゴー」などの香りが感じられます。また、泡盛は米と麹を用いるので、麹由来の油っぽい香りがするのです。それぞれのお酒の成分から、特徴を教えてくださる宇都宮先生。そこから、ベストマッチの探し方の話に。宇都宮先生:ベストマッチを考えるには「似た香りを合わせる」というアプローチが、一つの解です。カクテルを作る際、お酒と割材のコンビネーションを考える上ではそれぞれのお酒が元来持つ香りと、割材の香りを合わせるというやり方が一般的です。それと同じアプローチを「焼酎割り」でも取ることができます。たとえば、「東方烏龍茶」と「芋焼酎」を組み合わせるという割り方。「東方烏龍茶」はマスカットの様な香りがするため、「芋焼酎」の香り成分である「MTA」との相性がよい。他にも香ばしい麦の香りがする「減圧麦焼酎」と「麦茶」を合わせるという割り方など様々あるんです。なるほど...。ペアリングのヒントを明快に語っていただき、オーディエンスたちの好奇心がどんどんくすぐられていきます。宇都宮先生:このアプローチを、コカ・コーラを割材とした例に当てはめてみましょう。コカ・コーラには、味わいと香りをもたらすために香料が使われています。(諸説ありますが)昔のレシピでは、オレンジ、レモン、ナツメグ、コリアンダー、ネローリオイル、シナモン、バニラ、カラメル、などの原材料が使われていたとされており、今現在も大なり小なりその香りのエッセンス(要素)を持つと考えられます。このうち、「オレンジ」や「レモン」「ネローリ」由来の香り成分は、「芋焼酎」の「MTA」で香るものです。したがって、芋焼酎とコカ・コーラが合うことは必然である、ということが言えます。当然ながら、芋焼酎によって含まれる香り成分が異なるため、銘柄によって割る比率を変化させる必要があります。「コーラと焼酎が合う」。そのことに、どんどん具体性が帯びてきます。宇都宮先生:さらに、クラフトコーラには、コーラの構成要素である炭酸、砂糖、カラメル、バニラに加え、プラスαでスパイス・柑橘を活用していたり、コーラの構成要素を別の素材で代替していたり、素材・フレーバーの切り口に多様性があります。いずれにせよ、元来持つ相性の良さのほか、焼酎にない甘味と酸味を持っていることが多い。ある種、クラフトコーラで甘味と酸味を補うことで、カクテルとして相性が良くバランスの良いものに仕上がるはずなのです。このような考え方から、「芋焼酎」以外の焼酎も対象とし、“原材料が複雑に絡む”クラフトコーラとの相性を考えて面白いベストマッチを探る、というのが今回のイベントの趣旨です。「早くペアリングしたい!」と全員がそわそわしてしまうほどに、クラフトコーラと焼酎の相性の良さを、わかりやすく講義していただきました。ペアリングワークショップそして、お待ちかねのペアリング大実験会がスタート。当日揃ったクラフトコーラと本格焼酎・泡盛のリストがこちらです。【クラフトコーラ】写真左から、TOBA TOBA COLA(きび砂糖/島みかん/ジンジャー/カルダモン) 伊良コーラ(ライム/砂糖/バニラ/クローブ)YASO COLA(バニラ/グラニュー糖/レモン)TETOTARO COLA(自家製カラメル)美らコーラ(黒糖/シークワーサー/ハイビスカス/クローブ)日々乃コーラ(レモン/バニラエッセンス)*()内は象徴的な素材【本格焼酎・泡盛】<芋焼酎>だいやめ(ラベンダー)、伊佐小町(キンモクセイ)、赤薩摩(ヨーグルト)<米焼酎>八代不知火蔵 本格こめ焼酎 白水(バナナ)、誉の露(GI球磨常圧)、白岳 吟麗しろ(GI球磨減圧)<麦焼酎>Iichiko special(ココナッツ)、山乃守 梅(GI壱岐)、特上泰明(ナッツ)、情け嶋 麦(麦)<黒糖焼酎>三年寝太蔵(黒糖)<泡盛>春雨(バニラ)、久米島の久米仙 ブラック5年古酒40度(GI琉球)*()内は香り成分に基づく香りのイメージ。一部製法名を記載まずは、焼酎・クラフトコーラ単体の香り・味わい堪能。「あ!この焼酎なら、このクラフトコーラが合いそう!」「ペアの予感がなんとなく立つ!」といった声があちこちに。宇都宮先生の講義で受け取ったインプットによって、ペアリング作業が捗ります。日本酒造組合中央会の皆さん、初めて飲むクラフトコーラばかりで、楽しそうに試飲する様子が嬉しかったです。さて、ここからペアリング本番。コーラ側のメンバーとしては、ミクソロジー的な観点(焼酎に足りない酸味と甘みを補う)でのアプローチではなく、焼酎の持つ香り成分とクラフトコーラの原材料や味わいを、直感的に合わせていくアプローチでペアリングを楽しみました。たとえば、泡盛「春雨」は「バニリン」という香り成分によりバニラっぽい香りを持つため、自家製カラメルを活用している「TETOTARO COLA」が合うのではないか、という仮説で試してみました。ところが、泡盛が持つ他の香りや味わいによって、「TETOTARO COLA」の香りや味わいが打ち消されてしまいました。一方で、「酢酸イソアミル」という香り成分によりバナナっぽい香りを持つ米焼酎「白水」と、「TETOTARO COLA」を合わせてみると、驚くほどに相性が良かったです。米焼酎「白水」のバナナっぽい香りと「TETOTARO COLA」の自家製カラメルの風味が合わさり、「焼きバナナ」のような味わいになりました。面白い...。宇都宮先生からご教授いただいた「焼酎フレーバホイール」の観点から考えると、「バナナ」と「カラメル」は直角90度をなす位置関係(香り成分として、近すぎず遠すぎない関係)にいたので、その観点でペアリングを考えるのは一つのヒントなのでしょうか?(宇都宮先生、今度教えてください!笑)次に、芋焼酎「だいやめ」。「リナロール」という香り成分によりラベンダーのような香りを持っています。芋のふくよかな甘味を強く感じるため「酸味が欲しいな」と思い、シークワーサーの酸味が強い沖縄発「美らコーラ」を合わせてみました。そうすると、果実っぽくフルーティに仕上がって、美味しかったです!また、全く別のアプローチとして、「美らコーラ」と奄美黒糖焼酎「三年寝太蔵」を合わせてみると、メキシコ原産の蒸留酒「メスカル」(テキーラと近い)のような味わいがして、クセを楽しむ玄人向けのペアリングになると思いました。ショットでちびちび、長い時間をかけてじっくり楽しみたくなる....、良くも悪くも「刹那的」なコーラにとって「新しい楽しみ方」になる予感です。結果発表!ペアリングで生まれたベストカップル思う存分にペアリングを楽しんだ後は、お気に入りや驚いた組み合わせをひとりずつ発表。そして、全員のコメントをつけ合わせて厳選し、焼酎とクラフトコーラ、単体では実現できない新しい味わい・体験が生まれたベストカップルをまとめました!〜ベストカップル①〜赤薩摩(芋) × YASO COLA カップル「単体で飲むとヨーグルト感が強い赤薩摩、YASO COLAのソーダ割りを混ぜると複雑味が出てきました。」と宇都宮先生。YASOはその名の通り、80種類の野草から作った植物発酵エキスを使っている、柔らかく爽やかだけど複雑な味わいのクラフトコーラです。じっくり、ゆっくりと味わうのにぴったりのカップルになりました。〜ベストカップル②〜白岳 吟麗しろ(米)× 伊良コーラ缶 カップル「吟麗しろが持つカプロン酸エチル由来のパイナップルに似た華やかな吟醸香と、伊良コーラが持つカルダモンの香りが合わさり、爽快なフレーバーが広がります」と宇都宮先生。似た香りをぶつけるのではなくお互いに補う形での合わせ方で、驚きのある組み合わせになりました。クラフトコーラ界のトップランナーである伊良コーラですが、伊良コーラの良さをさらに引き上げ、魅力を爆発させる飲み方だと思います。〜ベストカップル③〜久米島の久米仙(泡盛) × TOBA TOBA COLA カップル「久米仙が持つバニリン由来の甘い香りと飲みごたえを生む油分が、TOBA TOBA COLAと合わせることによって締まりが出た印象」と宇都宮先生。泡盛は「泡盛感」がどうしても強くなってしまい、バニラの香りを乗りこなすカップル探しには皆さん苦戦していましたが、広く見たら同じ南国育ちである「喜界島(鹿児島)」からやってきたTOBA TOBA COLAがうまく寄り添ってくれました(久米仙は沖縄)。「地のものを食べるときは地酒を」なんて言葉もありますが、もしかすると同郷の組み合わせを探してもうまくいくかもしれません。〜特別賞:コーラ小林賞〜情け嶋(芋) × 伊良コーラ カップルじつは情け嶋「芋」はリストになかったのですが、伊良コーラ代表・小林さんの猛プッシュにより急遽登場!元々、老舗焼酎蔵元「大山甚七商店」とコラボレーションして、伊良コーラのスパイス・柑橘類と本格芋焼酎を活用した「伊良コーラ酎」を販売するくらい、芋焼酎との可能性を見出している小林さん。「イヨシイモ」という言葉をスタンダードにしていきたい、と会でも語っていました。スパイシーな伊良コーラを芋のまろやかさが包み込む、新たな「イヨシイモ」の可能性を感じられる飲み方でした。〜特別賞:味見屋のイチオシ〜八代不知火蔵 本格こめ焼酎 白水 × TETOTARO COLA カップルこちらは味見屋・斎藤の独断でピックアップ。白水は、普段飲んでいても「白水!」という香り高く主張の強い銘柄で、「クラフトコーラと合わせても白水が覆い隠してしまう」...と皆さん頭を悩ませていました。そんな中、TETOTARO COLAがいい仕事をしてくれましたよ。象徴的素材である自家製カラメルが、白水の「酢酸イソアミル」由来のバナナ香と合わさって、“焼きバナナ”のような風味の一杯になりました。デザートカクテルとして出すのにぴったりかも...!感想・考察まずは何より、本当に楽しかったです。僕らより一回り以上の人生の先輩たちが、クラフトコーラ×焼酎を通して、スーツを着ながら「酒飲みの顔」になっていくのも堪らなかったし、本来ノンアルコールドリンクである「クラフトコーラ」を中心に会話の花が咲いていく構図は、とてもピースフルな情景でした。この会を通して、クラフトコーラについて考えたことが二点あります。一点目は香りについて。今回、宇都宮先生の導きで「焼酎に足りない甘味と酸味をクラフトコーラが補う」というアプローチが多くとられました。これは、裏を返せば「クラフトコーラに香りが少し足りない」ということなのではないかと思います。このことは、これまでたくさんのクラフトコーラと触れてきて、また日々お酒を飲み交わす中でも、感じていたことでもあります。香水に代表されるように、アルコールは香りを閉じ込めることができます。一方で、クラフトコーラシロップは基本的にアルコールを含みません。シロップという性質上、アルコールと比較するとどうしても香りが立たないのは致し方ない部分はあると思います。ただ、飲んだ時の「インパクト」につながる香り高さを、クラフトコーラがもっと提供できたとしたら...。そこを追求した銘柄がどんどん現れ、カルチャーとして主流になってくると、「クラフトコーラ」という液体が“新しい次元”に到達できるのではないか、と思いました。二点目は、アルコールとの関係性について。普段、イベント出店でクラフトコーラを提供していると、「お酒は置いていないの?」という声をしばしば頂きます。「酔い」というわかりやすい快楽を加える意味では、味わいのシンプルなウォッカ等で割る方法が簡単です。お酒好きの自分としても「気持ちはすごく良くわかる!」のですが、クラフトコーラの持つポテンシャルをみなさんに感じていただきたいため、単純にアルコール割りを提供することには、あまり肯定的ではありませんでした。そう思っていた中で、「焼酎割り」という新たな示唆を得られたことはとても良い出会いだったと思います。単純なアルコール割りではなく、焼酎とクラフトコーラのそれぞれが持つ“とっておきの力”を使って、味わいの相乗効果を生むこと。クラフトコーラを通じた新しい体験を提供していきたい僕たちの哲学とも通ずるということを発見できました。焼酎とクラフトコーラが合わさることで、新しい味わいのみならず、お互いの新たな未来も創り出せる。そんな可能性が感じられた夜でした。今後は店頭でも、焼酎の割材としておすすめしていくことにチャレンジしてみようと思います!以上、CRAFT COLA WAVE編集長の仲間であり、「プロの味見屋」こと斎藤虎太朗によるレポートでした。今後に向けて最後に、CRAFT COLA WAVE編集長に代わり、レポートを締めていきます。「クラフトコーラには、香りが少し足りない」。もちろん、今回登場してもらった銘柄も含め、香りに秀でている銘柄も見つけられますが、「シロップという形状であること」「発祥から5年弱という文化的成熟度」などの要因も相まって、全体的には「香りが少し足りない」と特徴づけられる部分はあると思います。焼酎とのペアリングは、その“課題”(のびしろ)に気づくことができるし、香り高さの体験価値をまざまざと実感できるコンテンツです。さて、ここで「コーラ」という液体を改めて考えてみると...。歴史的にも現代においても、砂糖による“甘味”にある種の「中毒性」、つまり飲み手を虜にするための役割を果たさせていると考えられます。実際にコカ・コーラもクラフトコーラも甘いですし、「コーラ=甘い」という図式はほとんどの方にとって共通するイメージでしょう。「コーラ」はその図式に縛られているとも言えます。しかし、様々な文献を参照すると、作り始めた当初から砂糖が使われていたわけではない、と考えることができます。1886年頃、薬剤師 / 売薬製造業者であるジョン・ペンバートン氏によって作られたコーラ。当初は、刺激作用を期待して「コカの葉」やコラノキの種子「コーラナッツ」をワインに漬け込む、「フレンチ・ワイン・コカ」として作られていたと言及されています。そう、「アルコール飲料」として登場していたんです。その後、その地域で「アルコール飲料の販売禁止」が発令されたことで「ノンアルコール飲料」に舵を切り、そのタイミング以降に「砂糖」を活用し始めたとされています。参照:トム・スタンデージ (著), 新井 崇嗣(翻訳), 歴史を変えた6つの飲物 ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語る もうひとつの世界史, 楽工社, 2017, 331Pつまり、甘味は、根本の根本、本質的なルーツではない。もちろん、甘さは長く培ってきた“コーラらしさ”であることは間違いないし、甘味を通して美味しい体験を生むこと自体はひとつの選択肢・表現として歓迎すべきこと。そこを期待している飲み手がいることも事実です。ただ、クラフトコーラは、“甘味一辺倒” “甘味のみで中毒性を生む”、そのイメージ・図式から脱却できる可能性を秘めています。それに、「クラフト」は、自然素材による“香り・味わいの追求” “美味しい液体の追求”が求められるジャンルなはず。だからこそ、「甘み以外による中毒性」をクラフトコーラが手にしたとき、本当の意味でコーラを超え、クラフトコーラがわざわざ生まれたブレない強い意義を獲得し、ジャンルとしてアップデートできるのではないかと思っています。今回の取り組みは、何より「楽しくて、面白くて、美味しい体験」なので、このワークショップを通して、ペアリングの可能性を体系化し、飲食店を巻き込む等して広げていきたいと考えています。もちろん、何も考えずに、飲んで美味しく酔ってもらえたら、そして、クラフトコーラの魅力を知ってもらえたら、とても嬉しいです。そこに欲張りを言うならば、このような取り組みを重ねていった末に、素材を活用する技術によって“足し算的”に香りが増強されたクラフトコーラや、甘みを抑え他の味覚に中毒性の役割を付与した“引き算的”なクラフトコーラがどんどん登場し、(コーラの原点・ルーツを踏襲しながらも)明確な多様性を会得していくと、「文化」として強く残っていくのではないかと考えています。そうなることを願って...。「恋する焼酎とコーラ」、引き続きよろしくお願いいたします。執筆:鯉淵正行(CRAFT COLA WAVE編集長・CRAFT COLA hour主宰)、斎藤虎太朗(CRAFT COLA WAVE・CRAFT COLA hourメンバー「プロの味見屋」)撮影:松田 大成(CRAFT COLA WAVE・CRAFT COLA hourメンバー)協力:日本酒造組合中央会会場:日本の酒情報館協力銘柄:伊良コーラ、TOBA TOBA COLA、YASO COLA、TETOTARO COLA、美らコーラ、日々乃コーラSpecial Thanks:小林隆英さん(伊良コーラ創業者)、児島麻理子さん(日本酒造組合中央会アドバイザー